尿道狭窄症は様々な原因で尿道が狭くなり,排尿困難や尿閉などをきたす状態である。もっぱら男性に発生する。
排尿困難を認めた場合には,特に男性において前立腺肥大症や神経因性膀胱と並んで考慮すべき疾患である。最初のスクリーニングとしては膀胱鏡が有用であるが,狭窄の長さや程度の評価には,尿道造影がgold standardである。逆行性造影だけで狭窄の全貌が描出できなければ,排尿時造影や経膀胱瘻造影を組み合わせた挟み打ち造影を行う。MRIは外傷例で受傷範囲を描出するのに有用である。
尿道狭窄の治療の必要性は,自排尿できない場合か,自排尿可能であれば尿流測定と残尿測定で排尿状態が悪化している場合である。症状の進行が緩徐であると,患者自身が自覚していない場合もある。内尿道切開や尿道ブジー拡張などの経尿道治療は比較的簡便な方法だが,適応となるのは,①球部,② 2cm未満,③初回,④非外傷性,⑤単発,の5つの条件すべてを満たす場合のみである。
それ以外の症例では,経尿道的治療に根治性がないことを患者に伝えるべきであり,通常は尿道形成術の適応である。あえて尿道形成術が適応とならないのは,耐術性や手術希望のないケースと,尿路上皮癌の合併症例などに限られる。
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