厚生労働省は7月29日、「令和3年(2021年)簡易生命表」を公表した。それによると
日本人の平均寿命は男性81.47年、女性87.57年となり、20年と比べて男性は0.09年、女性は0.14年短縮した。平均寿命が前年を下回るのは東日本大震災があった11年以来、10年ぶり。新型コロナウイルス感染症の流行が影響した。ただし、平均寿命自体は過去2番目に高い水準となっている。
簡易生命表は日本に住む日本人について、1年間の死亡状況が今後も変化しないと仮定した時に、各年齢の人が1年以内に死亡する確率や、平均してあと何年生きられるかという期待値などを指標化したもの。0歳の平均余命である「平均寿命」は全ての年齢の死亡状況を集約したものとなっている。
平均寿命の前年との差を死因別に分析すると、「悪性新生物<腫瘍>」、「肺炎」、「交通事故」などの死亡率は男女とも低下し、平均寿命を延ばす方向に働いたが、「老衰」や「新型コロナウイルス感染症」などの死亡率上昇のマイナス影響がこれを上回った。特に新型コロナウイルス感染症の流行は、男性の平均寿命を0.10年、女性では0.07年縮める方向に働いた。
ある年齢の人が将来どの死因で死亡するかを算出した「死因別死亡確率」を見ると、0歳では男女とも「悪性新生物<腫瘍>」が最も高く、ついで「心疾患(高血圧性を除く、以下同)」、「脳血管疾患」、「肺炎」の順。65歳は男女とも0歳に比べて「悪性新生物<腫瘍>」の死亡確率が低く、「心疾患」の死亡確率が高い。75歳と90歳ではこの傾向がさらに強くなっている。
20年と比較すると、「悪性新生物<腫瘍>」、「脳血管疾患」、「肺炎」の死亡確率は男女とも全ての年齢で低下した。「心疾患」の死亡確率もおおむね下がったが、男性の90歳のみ20年を上回った。
平均寿命の国際比較で厚労省が入手した資料では、男性はスイス(81.6年)、ノルウェー(81.59年)、日本(81.47年)、女性は日本(87.57年)、韓国(86.5年)、シンガポール(85.9年)がそれぞれ上位3位となった。