後腹膜腫瘍では80%が悪性腫瘍であり,そのうち軟部肉腫が最多である。後腹膜軟部肉腫はその解剖学的特徴から,発見時に既に巨大化していることが多く,四肢に発生する軟部肉腫に比較して予後不良である。軟部肉腫のうち,約50%が脂肪肉腫,約25%が平滑筋肉腫である。
後腹膜腫瘍では,臨床所見や画像所見からある程度の鑑別診断が可能であるが,正確な質的診断はCT,MRIだけでは困難なことも多い。画像検査所見のみで診断が確定しえない場合,開腹生検もしくは針生検によって病理診断を確定してから治療方針を決定することが望ましい。
悪性軟部腫瘍の病期診断では,TNM分類に組織学的異型度を組み合わせて評価するAJCC staging systemが広く用いられている1)。ただし,後腹膜に発生した悪性軟部腫瘍の場合には,①大半の症例において初期診断時に腫瘍サイズが大きいために,悪性軟部腫瘍におけるTNM分類のT2以上になる,②その多くを占める脂肪肉腫と平滑筋肉腫にはリンパ節転移がほとんどみられずN0となる,などの理由からTNM分類のみで対応するのは困難とされている2)。
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