羊水過多症は,羊水過多により呼吸困難,食欲不振,切迫早産などをきたす。羊水過少は,前期破水,胎児発育不全や臍帯圧迫,胎児の腎無形成など泌尿器系の構造異常などにより引き起こされる。
超音波検査において,羊水指数(amniotic fluid index:AFI)25以上,もしくは羊水ポケット(maximum vertical pocket:MVP)8cm以上の場合を羊水過多と言い,それに付随した母体症状がある場合を羊水過多症と診断できる。
超音波検査においてAFI 5以下,もしくはMVP 2cm以下を羊水過少と言い,それに付随した異常所見を母児に認めるときに羊水過少症と診断する。
切迫早産徴候を示すことが多いので,内診で子宮頸管長を測定し,開大傾向を示す場合には入院で切迫早産管理を開始する。その上で,母体症状が著明な場合には,羊水除去術を施行する。緊急帝王切開術になっても対応できるようにルートキープを行い,子宮収縮抑制薬の点滴により子宮収縮を抑制(tocolysis)して行うのが安全である。
胎盤,胎児の感覚器付近を避けるように穿刺部位を決定し,十分な局所麻酔を筋膜上方に施行する。その上で,超音波ガイド下に16Gカテラン針で子宮内穿刺を行う。長時間にわたる針の子宮内留置による刺激は早産傾向などにもよくないので,吸引圧をかけてできるだけ速やかに終了するように心がけている1)。頻回の収縮がある場合,針先が筋肉内に迷入して危険なので,ミリスロールⓇ注(ニトログリセリン)0.2mL(100μg)を静脈投与し,必要に応じて追加する。血圧の低下をきたすため母体生体モニターは必須で,十分な補液が必要になることもある。
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