外因性の腎損傷は泌尿器外傷で最多である1)。外因性の外傷は鈍的外力による鈍的外傷と刺創・銃創などによる穿通性外傷にわけられるが,わが国では腎損傷は交通事故,転落などに起因する鈍的外傷が多い2)3)。
腎損傷の診断の中心は造影CTによる画像診断であり,損傷所見から損傷分類を行い,全身状態を加味して治療方針を決定する1)2)4)。
経カテーテル動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization:TAE)などのinterventional radiology(IVR)の進歩で,ほとんどの腎損傷は非手術療法(nonoperative management:NOM)で治療できる2)4)5)。
尿管損傷はほとんどが医原性で,外因性のものはきわめて稀であり,しばしば診断が遅れる。完全断裂例で循環動態が安定または手術可能の場合は修復術を行う1)~4)。
医原性損傷の原因は,腎は経皮的腎瘻造設術などの泌尿器科的手技による血管損傷が多いが,通常は保存的治療やNOMが可能である。尿管損傷の原因は婦人科手術によるものが多い2)~4)。
腎損傷では肉眼的あるいは顕微鏡的血尿を認めることが多い。しかし,血尿の程度と腎の損傷程度は相関しない報告もある1)2)4)。
腎損傷では,造影CTを施行して動脈相,実質相にて腎実質損傷と腎周囲血腫の程度,腎茎部血管損傷の有無を診断し,遅延相にて尿漏の有無を診断する。これにより腎損傷分類を行い治療方針の参考とする1)2)4)。
尿管損傷は造影CT排泄相あるいは造影CT後の腹部単純写真による造影剤溢流の所見が有用だが,詳細な診断がつかないときは逆行性腎盂造影が有用なこともある1)2)5)。
全身状態が安定している腎単独損傷はほとんどNOMが可能である1)2)4)。
腎損傷では他臓器の合併損傷が多いため,治療もそれに影響される2)4)。
腎では全身状態,出血と尿漏の評価,他臓器損傷の有無が重要である1)2)4)。
尿管は損傷の可能性を疑うことが重要である2)~4)。
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