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閉塞隅角緑内障[私の治療]

No.5136 (2022年10月01日発行) P.45

柏木賢治 (山梨大学医学部眼科学教室教授)

登録日: 2022-10-03

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  • 隅角開放度が狭い閉塞隅角眼が基本となる。隅角が急速に閉鎖し,発作性に眼圧が上昇すると急性閉塞隅角緑内障を発症する。眼圧上昇が比較的緩徐の場合は慢性閉塞隅角緑内障をきたす。予防的治療を適切に行うことで完治の可能性があるが,対応が不適切な場合,視機能予後は他の緑内障に比べ不良である1)

    ▶診断のポイント2)

    【閉塞隅角症】

    隅角は機能的もしくは器質的閉塞を示すが,緑内障性視神経障害はまだ発症していない状態である。細隙灯顕微鏡で周辺前房深度が角膜厚の1/2以下の場合は閉塞隅角症の可能性があるため3),隅角鏡で隅角開放度や周辺虹彩前癒着(PAS)の有無を確認するべきである。前眼部光干渉断層計などを用いることも有用である。身体的特徴としては,小柄な高齢女性,青壮年期は裸眼視力が良好,老眼の発症が早く,強いといった傾向がある。

    【急性閉塞隅角緑内障発作】

    結膜充血,中等度散瞳,対光反射の消失が典型的眼所見である。視力低下に加えて,激しい頭痛,悪心・嘔吐など脳卒中に類似した症状を示す。上記眼科的特徴による鑑別が有用である。誘因として,暗い環境での長時間の近方作業,散瞳効果のある薬物の投与などがある。初期症状としては,光の周りににじんだ輪が見える(虹輪視),軽度の眼重感,頭重感を示すことがある。発作の前に予兆的にこれらが現れることがある。

    【慢性閉塞隅角緑内障】

    視野障害など自覚症状は開放隅角緑内障と類似しており,鑑別は困難な場合が多い。加齢に伴い隅角の閉塞が進み,眼圧コントロールが悪化する傾向にある。時に,急性閉塞隅角緑内障発作を発症することがある。

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