(質問者:宮崎県 O)
EPA製剤を用いたJELIS Trialのサブ解析では,EPA製剤摂取の有無による出血性合併症(非外傷性頭蓋内出血,くも膜下出血)には有意差を認めないという結果でした1)。
EPAを食生活で摂取した場合について検討した報告は多くありません。脳出血などの出血性合併症と血小板凝集能や出血時間の変化の2点について説明します。
過去にグリーンランド・エスキモー人は,心筋梗塞などの血栓性動脈硬化疾患が非常に少なく,出血傾向があると言われていました。それに注目したデンマークのDyerbergとBangがグリーンランド・エスキモー人,デンマーク都市部で生活するエスキモー人とデンマークの白人の3群を対象に検討しました。グリーンランド・エスキモー人の主食は,EPAを豊富に含む魚を餌とする海豹,海馬など海棲の動物肉,および魚肉で,パン,野菜,牛肉や豚肉を摂取していませんでした。その結果,グリーンランド・エスキモー人は平均1日13.7gのn-3系多価不飽和脂肪酸を摂取し,EPA摂取が少ないデンマーク人と比較して,心筋梗塞の発症率が低く,脳出血の割合が高い結果であったとKromannら2)が1980年に報告しています。
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