陥入爪は,爪甲の側縁が側爪溝の軟部組織に陥入して組織を損傷し,炎症を起こすことで生じる。慢性的に爪が組織を傷つけ,また,細菌感染を併発することで発赤や腫脹,肉芽の形成などが起こってくる。爪の不適切な切り方で生じることが多い。
巻き爪は,爪甲の側縁が内側に巻き込んだ状態のことを指す。第1足趾に生じやすいが他趾にも生じる。圧迫を受けると疼痛を伴い,また,爪甲周囲の皮膚へ食い込んで炎症を起こすことで陥入爪を起こす。足趾への非荷重や外反母趾などの足の変形に伴って生じることが多い。
陥入爪も巻き爪も臨床的な特徴から診断する。客観的評価として,陥入爪はHeifetzの分類1)に基づき重症度を評価する場合もある。巻き爪は遠位爪幅狭小化率を測定し,80%以上を正常とする評価法もある2)。
爪と側爪郭の部分の干渉を解除することが治療の目的である。すぐに外来で行えるのがテーピングやコットンパッキング,ガター法である。ただし,状態がこじれているとなかなかそれだけでよくならない場合も多く,炎症が強い症例にはブロック麻酔を行った上で,爪母温存楔状切除術を行う。
巻き爪には形を矯正する治療を行うが,自費診療になることが多い。矯正器具の準備がない場合には,熱したペアンによる矯正を行う。
矯正器具として最も用いているのは,まっすぐな超弾性ワイヤー(マチワイヤⓇ)で,爪の厚さや硬さに合わせて太さを選択する。爪が硬い,ステープラー型など,マチワイヤⓇが効かない場合には,巻き爪マイスターⓇを用いる。また,変形が軽度である場合やワイヤー治療で開いた爪を維持する目的で,巻き爪クリップを使用する。
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