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【文献 pick up】軽症新型コロナ例でも深部静脈血栓症には要注意:英国大規模前向き調査

宇津貴史 (医学レポーター)

登録日: 2022-11-04

最終更新日: 2022-11-04

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COVID-19感染後の心血管系(CV)イベントリスク増加は、すでに複数報告されている。ただしそれらにはレトロスペクティブ研究、あるいは詳細なCVイベント内訳が不明という限界があった。そしてこれらの点を克服するプロスペクティブ研究が、1024日、BMJが発行するHeart誌に掲載された[Raisi-Estabragh Z, et al. 2022]。外来加療のみで済んだCOVID-19であれば、深部静脈血栓症(VTE)以外のCVリスク上昇は認めなかったものの、VTEリスクは感染後の相当長期にわたり遷延する可能性が示された。概略を紹介したい。

解析対象となったのは、英国の4069歳住民が任意登録したプロスペクティブ・コホートである「UKバイオバンク」内の、COVID-19陽性と診断された17871例と、傾向スコアでマッチした陰性35742例である。

内訳は男性が47%、年齢中央値は65歳、BMI中央値はおよそ27.5kgm2だった。

またCOVID-19陽性例中、14304例は外来加療のみ、2701例は「COVID-19」による入院、残りの866例は「その他疾患」による入院を要した。

その結果、平均141日の観察期間中、「入院」例のCV転帰は(原因が「COVID-19」、「その他疾患」であるかを問わず)、心筋梗塞と脳卒中、心不全、心房細動、VTE、心外膜炎、いずれの発生リスクも、陰性例に比べ有意に上昇していた。リスク上昇幅が最も大きかったのは「VTE」である。

VTE」はさらに「入院を要しなかった」COVID-19陽性例でも、陰性例に比べ有意なリスク上昇を認めた(発生率:0.39 vs. 0.14%、ハザード比[HR]:2.7495%信頼区間[CI]:1.385.45)。「VTE」は、非入院陽性例で有意なリスク増加を認めた唯一のCVイベントであった。

そしてこの「VTE」発生リスクを、「入院」「非入院」例併合(陽性例全体)で解析したところ、COVID-19感染から30日経過以降でも、HR3.97の有意高値が維持されていた(95CI2.107.53)。

同様に陽性例全体で解析すると、感染30日経過以降も有意なリスク上昇を認めたCVイベントとしては、「VTE」以外に「心不全」(HR2.7895%CI1.714.51)と「心房細動」(同1.721.112.67)、「心外膜炎」(同4.641.6313.2)が明らかになった。

原著者らは、COVID-19感染例におけるCVイベントリスク上昇は「入院」例にほぼ限られるとしながらも、感染後「非入院」例におけるリスク上昇についても、さらなる検討が必要だとしている。

なお、日本静脈学会などによる最新の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)における血栓症予防および抗凝固療法の診療指針」[2022613日版(Version 4.0)]では、軽症COVID-19に対し「抗凝固療法は不要とし、脱水の予防、理学療法(離床、下肢運動、弾性ストッキング)を中心とする治療を推奨」している[日本静脈学会]。

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