アルポート症候群は,糸球体基底膜などのⅣ型コラーゲンα3鎖,α4鎖,α5鎖のいずれかの遺伝子変異に起因する,腎代替療法(RRT,血液透析と腹膜透析)に至る可能性のある腎症である1)。血尿が特徴であり,糸球体基底膜の電子顕微鏡所見や,Ⅳ型コラーゲン蛋白の異常,Ⅳ型コラーゲン遺伝子の変異が証明されれば,家族歴や難聴は診断に必須でない。病初期には血尿が唯一の所見である。蛋白尿は進行とともに増加しネフローゼ症候群をきたすこともあり,末期腎不全に至る。
すべての血尿症例において,アルポート症候群が鑑別疾患となる。血尿症例で腎不全の家族歴があるなら,腎生検を考慮する。
2015(平成27)年2月改訂の診断基準を表1)に示す。
アルポート症候群の80%はX連鎖型で原因遺伝子は COL4A5,15%は常染色体劣性型で原因遺伝子はCOL4A3またはCOL4A4,5%は常染色体優性型で原因遺伝子はCOL4A3またはCOL4A4である。X連鎖型では男性が予後不良である。常染色体劣性型では重症度が均一で,20歳代前半に末期腎不全となる。予後に男女差はない。優性型は予後良好である。
残り1,167文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する