勃起障害(erectile dysfunction:ED)の定義は「満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか,または維持できない状態が持続または再発すること」とされている1)。EDは,機能性(心因性),器質性と混合性に分類される。EDの有病率は年齢とともに上昇する。EDの患者数は,中等症以上で1130万人と推計されている。
EDの定義に当てはまればEDと診断できる。病歴では,勃起時の陰茎硬度と持続時間,性欲,射精,オルガズムについて記載する。また,パートナーとの関係性についても問診する。勃起機能問診票であるSHIM(Sexual Health Inventory for Men)などでEDの評価を行う。リスクファクターを把握し,臨床検査として,尿,随時血糖値を調べ,性腺機能低下が疑われればホルモン(FSH,LH,PRL,テストステロン)検査を行う。問診・身体所見・臨床検査などのプライマリケアでEDの原因が診断される率は77.1%であり,残り22.9%が特殊診断検査による。
治療の第一選択はPDE5阻害薬の投与で,使用にあたっては禁忌項目がないことを確認する。効果が不十分な場合や副作用が気になる場合は,再度使用方法や安全性について説明する。PDE5阻害薬が無効な場合や禁忌がある場合は,治療の第二選択としてプロスタグランジンE1の陰茎海綿体注射や陰圧式勃起補助具を試みる。ただし,陰茎海綿体自己注射は国内未承認であるため,施設での治療倫理審査を経て行われている。第二選択治療が無効の場合は,海外では陰茎プロステーシス手術がゴールドスタンダードであるが,国内未承認であり,一部の専門医が海外から個人輸入して行っている。
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