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CKD患者に対するMR拮抗薬の使い方について

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  • その後,ナトリウム依存性グルコース輸送体(SGLT)2阻害薬が登場し,血糖降下薬としてのみならず,蛋白尿の減少や腎臓および心血管アウトカムを改善させることが複数のランダム化試験(CREDENCE試験,DAPA-CKD試験など)により示されました。これらの試験はRAS阻害薬を標準治療としてSGLT2阻害薬またはプラセボの比較試験です。しかし,SGLT2阻害薬投与群でも依然として残余リスクが残っていました。

    その残余リスクとしては,MRの過剰活性化の関与が示唆されています。その理由として,まず第一にRAS阻害薬を投与すると血中アルドステロン濃度は低下しますが,慢性投与を続けると半年後ぐらいからアルドステロン濃度が再上昇して治療前より高値を示すことがあります(アルドステロンブレイクスルー現象)。この詳細な原因は不明ですが,RAS阻害薬のみでは血中アルドステロン濃度を完全に抑制できないことによるMR活性化が考えられます。さらに,慢性的な高血糖状態では,PKCβ経路の活性化によるリン酸化やヘキソサミン経路の活性化によるO-GlcNAc(O結合型N-アセチルグルコサミン)修飾を受けることにより,MR蛋白の分解(ユビキチン化)が抑制されてMR蛋白レベルが増加することに伴いMR活性化をきたす機序も示されています。

    以上のような機序により,2型糖尿病に合併するCKDではMRの過剰活性化を伴い,炎症や線維化をきたすと考えられます。したがって,RAS阻害薬,SGLT2阻害薬とMR拮抗薬,特にフィネレノンの組み合わせは効果的と考えられます。長期的には高カリウム血症に対する注意が必要ですが,SGLT2阻害薬は尿中カリウム排泄を亢進させることから,この3剤の併用は重度の高カリウム血症のリスクを軽減することも期待されます。

    【回答者】

    柴田洋孝 大分大学医学部 内分泌代謝・膠原病・腎臓内科学講座教授

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