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無尿・乏尿・排尿障害[私の治療]

No.5162 (2023年04月01日発行) P.38

清水敬樹 (東京都立多摩総合医療センター救命救急センター部長)

登録日: 2023-03-29

最終更新日: 2023-03-28

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  • 無尿・乏尿・排尿障害を考える上で,尿量とは,単純に1日に出た尿の量ではなく,腎臓に負担をかけずに安全に溶質を排泄するために必要な尿の量だということを意識する。成人の場合は,1日尿量400mL未満が乏尿,100mL未満が無尿と定義される。乏尿・無尿の原因が腎前性であるか,腎実質性であるか,腎後性であるかを鑑別しつつ,それぞれの背景因子を洗い出してケース・バイ・ケースの治療を行う必要がある。

    ▶病歴聴取のポイント

    【主訴】

    乏尿・無尿の患者の訴えが尿量低下である場合は多くない。その結果生じた事象,腹痛や腹部膨隆,浮腫などの主訴で受診するケースが多く,急性腹症などとの鑑別も重要である。大部分は超音波検査での膀胱,腎盂などの所見で速やかに診断がつくことが多い。

    ▶バイタルサイン・身体診察のポイント

    【バイタル】

    前述のように,尿量低下を主訴に受診することは稀で,その結果として生じる溢水による呼吸困難,頻呼吸,酸素飽和度低下や電解質異常による徐脈,不整脈,代謝性アシドーシスの呼吸性代償としての大呼吸などの所見に注意する。

    【身体観察】

    まずは腎後性腎不全の除外が必要であり,腹部膨隆の有無を確認する。また,男性の場合には前立腺肥大の有無は必ず確認する。

    【画像】

    超音波検査で膀胱拡張の有無を調べ,必要があれば尿道カテーテルを挿入する。

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