コレステロール塞栓症は大動脈の動脈硬化性病変のコレステロールを含むプラークが破綻し,内部のコレステロール結晶が遊離し,塞栓を起こすことによって末梢動脈の閉塞性・虚血性病変を生じる疾患である。動脈硬化を有する患者に対する血管造影検査や,心臓大血管手術などの血管侵襲的手技,抗凝固療法などの合併症として重要である。
網状皮斑(livedo reticularis)と呼ばれる赤色や紫色の網目模様がみられる皮膚所見や,blue toe症候群と呼ばれる足趾に突然に生じる境界明瞭なチアノーゼなどの特徴的な皮膚所見のほか,潰瘍,壊死など,コレステロール塞栓症患者全体の約1/3で皮膚病変が認められる。眼底を観察し,Hollenhorst斑と呼ばれる網膜動脈の分岐部に明るい黄色の小片を確認できると本疾患の診断の補助になる。確定診断は,生検による動脈内のコレステロールクレフト(針状,半月状の間隙)の確認による。侵襲度の低い皮膚生検が最も多用される。
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