No.5176 (2023年07月08日発行) P.54
石川慎一 (姫路赤十字病院麻酔科部長, ペインクリニック部長)
高雄由美子 (兵庫医科大学病院ペインクリニック部 教授)
登録日: 2023-07-11
最終更新日: 2023-07-04
【質問者】石川慎一 姫路赤十字病院麻酔科部長, ペインクリニック部長
【SCSは,脊髄に微弱な電気刺激を加えることにより,痛みを緩和する方法である】
SCSとは,耳慣れない治療法かと思いますが,難治性慢性疼痛の治療の切り札として,ぜひ知っておいて頂きたい治療です。
SCSでは硬膜の外側にある硬膜外腔にリード(電極)を留置し,微弱な電気刺激を加えることにより,痛みを緩和する方法です。リードは痛みを感じている部分に,電気刺激が重なるように留置します。神経障害性疼痛と虚血性疼痛に有効であるとされてきましたが,すべての痛みに有効とは限らないので,いったん経皮的に電極を留置し(トライアル期間),効果があり,患者が希望した場合に植え込み術を行います。植え込み術は,心臓のペースメーカーを思い浮かべて頂くとよいと思います。硬膜外腔にあるリードと皮下に留置した電気刺激装置を,皮下トンネルに通して連結します。
効果のメカニズムについてはわかっていないことも多いものの,鎮痛効果に関しては,電気刺激により脊髄後角でGABAの放出が増加することや下行性抑制経路が賦活すること,微小循環改善効果に関しては,末梢線維終末から血管拡張物質が遊離されることや交感神経遠心性活動が抑制すること,などが解明されています。
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