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腹膜透析(PD)が日本でさらに普及するために必要なことは?

No.5182 (2023年08月19日発行) P.54

片桐大輔 (国立国際医療研究センター病院腎臓内科)

浜崎敬文 (東京大学医学部附属病院血液浄化療法部講師)

登録日: 2023-08-16

最終更新日: 2023-08-15

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  • 腹膜透析(peritoneal dialysis:PD)が日本でさらに普及するために必要なことについてご教示下さい。
    東京大学医学部附属病院・浜崎敬文先生にご解説をお願いします。

    【質問者】片桐大輔 国立国際医療研究センター病院腎臓内科


    【回答】

     【PD患者の人生の目標達成のため,産学官民で多面的な支援が望まれる】

    PDは血液透析と比較して,残腎機能,QO L,認知機能,COVID-19リスク低下などの面でメリットがあります1)~3)。日本では維持透析患者の3%,透析導入患者の6%程度と,PDの割合が圧倒的に低いです4)。この極端な不均衡に対し,2018年度以降,PD(および腎移植)の追い風となるような診療報酬改定がなされてきています。shared decision makingの普及・実践は,PD選択率向上に寄与すると考えられます5)

    香港はPDファーストを推進した結果PD患者の割合が70%を超え,世界で最もPDが普及しています。患者中心医療の推進という明確な国の方針,医療者や学生のPD教育プログラム,PDの医療経済的評価,患者・家族が抱える諸問題への対応など,学ぶ点は多いと思います6)

    超高齢化社会に伴い生産年齢人口が減少する中,増加する高齢透析患者に対して治療・ケアを提供し続けるためには在宅治療であるPDの必要性は高く,特にassisted PDの活用が望まれます。訪問看護師など医療従事者のみならず介護職もPDの介助・実施ができるように制度が改正されれば,地域で高齢PD患者を支えやすくなるでしょう。

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