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不随意運動に対する外科治療の適応と最近の動向は?

No.5183 (2023年08月26日発行) P.55

安部 洋 (福岡大学医学部脳神経外科教授)

江夏 怜 (札幌医科大学脳神経外科講師)

登録日: 2023-08-29

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  • パーキンソン病,本態性振戦,トゥレット症候群などの不随意運動に対する外科治療の適応や方法に関しては判断が難しい場合が多く,手術すべき患者が隠れている可能性がある疾患であると思います。不随意運動に対する外科治療の適応や最近の動向についてご教示下さい。
    札幌医科大学・江夏 怜先生にご解説をお願いします。

    【質問者】安部 洋 福岡大学医学部脳神経外科教授


    【回答】

    【薬剤抵抗性の場合にDBS,凝固術,MRgFUSなどが適応となる】

    パーキンソン病に対する外科治療としては,視床下核,淡蒼球内節(globus pallidus internus:GPi)やposterior subthalamic area(PSA)の脳深部刺激療法(deep brain stimulation:DBS),片側の症状であれば対側の淡蒼球破壊術などが行われますが,近年ではDBSが主流です。

    薬剤性や脳血管性,進行性核上性麻痺,多系統萎縮症などに伴うパーキンソン症候群に手術は無効なので,これらを除外することが重要です。また,L-ドパに反応しなくなるほど進行した場合も効果は乏しいとされます。L-ドパチャレンジテストは,パーキンソン病の診断や手術効果を判定する上でも有用です。

    一方で,DBSによって症状悪化のリスクがあるため,認知症や薬剤誘発性でない精神症状がある場合などは治療の適応となりません。また,75歳以上の高齢者や全身麻酔が難しいほど全身状態が悪い場合も適応となりません。

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