冠動脈石灰化スコア(coronary artery calcification score:CACS)は冠動脈イベントリスクと正相関するため非常に有用な予知因子だが[Elias-Smale SE, et al. 2010]、簡便に測定できるわけではない。しかし頸部の周囲径が、このCACSと相関している可能性が明らかになった。首周囲径はさらに心血管系転帰とも相関していた。8月17日、Atherosclerosis誌で中国・山東大学のPeiqing Tian氏らが報告した。
同氏らが解析対象としたのは、中国単施設に搬入された60歳以上の急性冠症候群(ACS)例中、退院前に冠動脈CT血管造影(CCTA)にてCACSを評価していた連続登録867例である。
平均年齢は71.5歳、男女はほぼ同数だった。約7割が高血圧、7割弱が脂質異常症、6割強が糖尿病を合併していた。
BMIは男性が29.0kg/m2、女性が27.1kg/m2だった。首周囲径平均値は男性37.8cm、女性35.4cmだった。
これら867例を対象に、首周囲径とCACSの相関、さらに首周囲径と心血管系転帰との関係を検討した。
その結果、「首周囲径」四分位群が上がるに従い「CACS」も有意に高値となっていた。
なお四分位群ごとの首周囲径平均値(cm)は下から「33.6」、「36.8」、「38.7」、「40.5」である。
同様に「首周囲径」四分位群が上になるほど、石灰化病変重篤度も上昇していた。
すなわち、まず「石灰化病変の数」が「首周囲径」四分位群上昇に伴い有意に増えていた。
さらに、石灰化病変を1枝に認めるリスク(補正後オッズ比)も、「首周囲径」四分位「最小」群に比べ「第2四分位」群では1.13、「第3四分位」群1.33、「最高」群は1.75へと有意に上昇していた。
「2枝」、「3枝以上」で石灰化を認めるリスクも同様の傾向を示した。
次に「ACS再発・緊急入院」との関連を見ると、やはり「首周囲径」四分位群が高くなるほどリスクは有意に高くなっていた。興味深いことに「非致死性脳卒中」も同様だった(観察期間中央値:35.3カ月)。
本研究は複数の行政組織から資金提供を受けた。