田村憲久厚生労働相は17日、死亡診断書や死体検案書の記載事項を解説している同省の『死亡診断書記入マニュアル』について、異状死の警察届出に関する記述が「正確でない」として、来年度の改訂で見直しを図ると表明した。同日の参院厚労委員会で足立信也議員(民主)の質疑に答えたもの。
足立議員は13日の同委員会で、法的根拠のない「マニュアル」に「外因による死亡又は疑いのある場合には、異状死体として24時間以内に所轄警察署への届出が必要になる」との記述があり、これが医師法21条(「医師は、死体又は妊娠4月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署に届け出なければならない」)と似ているため、「『マニュアル』が法令と同等の義務規定のように誤解され、混乱が生じている」と指摘した。
原徳壽医政局長は「混乱を招きかねない」と認め、「直すところは直す」と答弁。17日に田村厚労相がこれを追認した。
足立議員はさらに、13日に閣議決定された「死因究明等推進計画」の中で、臨床研修では「マニュアル」を活用して死亡診断書等の作成能力の向上を図るとされていることについて、「『マニュアル』をそのまま使えば現場はまた混乱する」として、政府の見解を求めた。
これに対しては安倍晋三首相が答弁。「『計画』の記述は『マニュアル』の記述変更を前提としており、見直しに向けて厚労省で適切に検討を進める」と強調した。