前回に引き続き「rSr'パターン」について解説を行います。後編の今回は,“Reader's Voice”で質問のあった「Brugada型心電図」を含めた解説まで深掘りできればと思います。では,はじめ!
Brugada兄弟により,複数の右前胸部誘導で右脚ブロック様の“ST上昇”を呈し,明らかな器質的心疾患もなく,電解質異常やQT延長も認めないのに心室細動をきたした8例が報告されたのは1992年のことです1)。
実は,これよりも前に同様の症例報告はあり,日本国内で“ポックリ病”と呼ばれていた疾患群の一部が該当するようです。ただ,心電図の特徴をまとめ,臨床所見と関連づけた “最初の”報告者の名を冠する形で「ブルガダ症候群」(BrS)として定着しました。
ボクも年をとったのでしょうか,「ブルガダ症候群」と聞くと比較的新しい疾患概念のイメージが抜けないのですが(笑),もう30年も経っている病気なわけです。さすがに“最近”と紹介されることはなくなっていますし,既に非専門医にまで広く知られた病名になっているのかもしれません。
「ブルガダ症候群」は,心筋のNaチャネルの機能低下を生じる遺伝性疾患と考えられています。体表面心電図では,V1~V3のQRS波とST-T部とをつなぐ場所に特徴的な所見を生じ,いわゆる「ブルガダ型心電図」と呼ばれる波形を呈します。
ブルガダ症候群でみられる心電図にはいくつかのパターンがあり,当初はtype 1~3の「3つ」にわけるのが“お決まり”でした。