新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う特例措置について、厚生労働省は10月1日以降の対応を決定、9月15日に全国に通知した。今号と次号の2回にわたり、その概要を紹介する。今号は「診療報酬上の臨時的な取扱い」の見直しを取り上げる。
診療報酬点数の主な変更部分は表の通り。廃止されるのは療養指導の147点と回復患者の転院受入の950点のみで、その他は点数を引き下げながらも継続されることになった。
まず外来では、必要な感染対策を講じた上で、疑い患者への診療は引き続き評価。受入患者を限定しない場合は147点とし、限定した場合の50点と引き下げ幅に差をつけた。
入院では、重症患者の入院料はこれまでの特例の80%に、中等症等の患者の場合は約44%の評価に変更。感染対策加算はこれまでの50%になる。介護施設や在宅の患者で入院が必要になった場合、リハビリ・介護サービスとの連携が充実した病棟に入院させた場合の評価も950点を420点にして継続する。
入院のこれらの変更は、10月1日以前から入院している患者にも適用される。
在宅では、緊急往診(950点→300点)や高齢者施設への緊急往診(2850点→950点)、看護職員とのオンライン診療(950点→300点)がそれぞれ存続。医療機関の訪問看護の特例はこれまでの4割にする。
これまでの点数をそのまま継続するものもある。患者を個室または陰圧室に入院させた場合の二類感染症患者療養環境特別加算(300点、200点)は据え置かれた。特定入院料等を算定する病棟(地域包括ケア病棟、精神療養病棟、緩和ケア病棟など)でコロナ患者を受け入れた場合の特例は丸ごと残った。検査にかかる特例もそのまま継続。その他加算についても、リハビリ以外は点数が据え置かれた。
逆に、新しく追加されたものもある。小児科外来診療料、小児かかりつけ診療料、在宅時医学総合管理料、施設入居時等医学総合管理料、在宅がん医療総合診療料を算定している患者に抗ウイルス剤を処方した場合は、別途薬剤料を算定できるとされた。
施設基準等についても9月15日付で事務連絡通知が発出された。それによると、新型コロナの患者を受け入れたことで超過入院となった場合に、入院基本料の減額を適用しない特例は24年3月31日まで存続することになった。
施設基準で10月1日以降も継続するのは、ハイケアユニット入院医療管理料の施設基準の上限超えの特例や、特定入院料の病棟に要件を満たさない患者が入院した場合の特例など。
12月31日まで3カ月間だけ継続するものもある。職員の月平均夜勤時間数や1日当たり看護要員の数等に1割以上の変動があった場合(DPC対象病院も含む)でも、3カ月を超えない期間に限り届出を不要とする特例。ただし、地方厚生局への報告が必要になる。
9月30日で終了するのは、平均在院日数や手術・診療実績の要件を満たさなくなった場合でも直ちに辞退・変更の届出をしなくてもよいとする特例など。
日本医師会の長島公之常任理事は9月15日の会見で、今回の見直しについてコメント。これまで中医協の場で、PPEの交換や発熱外来に対応したスタッフの雇用継続など、今後も一定のコストがかかり続けることなどを主張してきたと紹介。
その上で、今回の見直しについて「点数が半分近く、あるいは3分の1近くになったものがあるが、これまでの日医の主張を踏まえ、一定の評価は継続されることになった」と述べ、ある程度主張は取り入れられたとの見方を示した。