厚生労働省は9月29日の社会保障審議会の医療保険部会と医療部会に、2024年度診療報酬改定の基本方針について、議論のたたき台を提示した。昨今の社会情勢や医療を取り巻く状況、中央社会保険医療協議会でのこれまでの議論の内容を踏まえ、論点を整理して記載。物価高騰や賃金上昇への対応、医療DXの推進による医療情報の活用、新興感染症に対応できる医療提供体制の構築―などを盛り込んだ。
たたき台は従来の基本方針と同様、「改定に当たっての基本認識」と「改定の基本的視点と具体的方向性」で構成。基本認識の例には、(1)物価高騰・賃金上昇、経営の状況、人材確保の必要性、患者負担・保険料負担の影響を踏まえた対応、(2)全世代型社会保障の実現や、医療・介護・障害福祉サービスの連携強化、新興感染症等への対応など医療を取り巻く課題への対応、(3)医療DXやイノベーションの推進等による質の高い医療の実現、(4)社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和―の4項目を提示した。
基本方針を踏まえた基本的視点の例には、①ポスト2025年を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DXを含めた医療機能の分化・強化、連携の推進、②現下の雇用情勢を踏まえた人材確保・働き方改革等の推進、③安心・安全で質の高い医療の推進、④効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上―を掲げた。
その上で、①を実現するための具体的方向性の例には、医療DXの推進による医療情報の有効活用や遠隔医療の推進、かかりつけ医機能の評価などを列挙。③では食材料費をはじめとする物価高騰を踏まえた対応や、アウトカムにも着目した評価の推進、医薬品の安定供給の確保などを例として示した。④には、次期薬価制度改革の主な論点である、後発医薬品やバイオ後続品の使用促進、長期収載品等の在り方、市場実勢価格を踏まえた適正な評価―などを記載した。