日本イーライリリーは9月26日、米イーライリリーが開発したアルツハイマー病(AD)疾患修飾薬ドナネマブについて、「ADによる軽度認知障害(MCI)およびADによる軽度認知症」の適応で日本での承認申請を行ったと発表した。米国での承認申請は6月までに完了させている。
ドナネマブは、9月25日に国内で承認されたエーザイのレカネマブと同じ抗アミロイドβ抗体。早期AD患者を対象に安全性・有効性を評価した試験では、タウ蓄積量が軽度~中等度の試験参加者(1182人)の臨床的悪化がプラセボと比較して18カ月で35%遅延、日常生活機能の低下は36%遅延したとされている。
ドナネマブが承認された場合、レカネマブと同様に高額な薬価が設定されると見込まれているが、米イーライリリーのデイビッド・A・リックスCEO(写真)は26日に都内で開かれたフォーラムで、「(試験参加者には)アミロイドプラークが減少して18カ月以内に治療を中止できている方がいる。コストはそれほど高額ではない」と強調。終了後の記者会見で日本での承認時期に触れ、「おそらく来年になる」との見通しを示した。
フォーラムでは国際医療福祉大学長の鈴木康裕氏(元厚労省医務技監)もAD疾患修飾薬の薬価問題に言及し「安物買いの銭失いになってはいけない。正当な値付けが必要だ」と指摘した。
アミロイドプラークの低下に関するドナネマブの試験結果
①18カ月時点でのベースラインからのアミロイドプラークの低下は平均84%(プラセボ群での低下は1%)
②試験参加者の約半数が12カ月時点でアミロイドプラーク除去の基準を達成、約7割は18カ月時点で達成