角膜ジストロフィは両眼性・非炎症性の混濁をきたす遺伝性の疾患と定義される。他分野のジストロフィ(変性症,細胞死を伴うことが多い)と異なり,角膜の透明性を阻害するのが疾患の本態で,蓄積病であることが多い。また,定義にはないものの遅発性,進行性であることは他分野のジストロフィと同様である。
角膜3層(上皮,実質,内皮)すべてが疾患座となる。上皮・実質ジストロフィにおいてはその部分への沈着が主になるが,内皮では内皮不全による角膜浮腫の病態をとる。診断は,上皮・実質ジストロフィについては各ジストロフィに特異的な沈着様式,内皮ジストロフィでは角膜斑を伴う進行性の内皮不全,そして,家系内集積などから臨床的にも容易である場合もあるが,確定には遺伝子検査が推奨される。角膜ジストロフィは角膜の混濁の形状,様式のみでは鑑別が困難な場合があることや,致死性疾患ではなく,家系内集積の把握が比較的容易であることから遺伝子検査が眼科領域でいち早く導入された疾患群であり,遺伝子検査は保険収載となっている。膠様滴状角膜ジストロフィについても,2022年度,臨床検査会社SRLにおいて遺伝子検査を行うことが可能となった。
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