【質問者】柴田 茂 帝京大学医学部腎臓内科教授
【低たんぱく質ご飯は,たんぱく質制限のアドヒアランスを向上させる有効なツールと考えられる】
このたび,日本腎臓学会の「CKD診療ガイドライン2023」が刊行されました。CKDの食事療法におけるたんぱく質制限については,これまでの国内外のエビデンスから「CKDの進行を抑制するためにたんぱく質摂取量を制限することを推奨する」ことが示されています1)。そして,実際の推奨量は「慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版」の記載が目安になると考えられます。
その一方で,高齢CKD患者を念頭に置いた「サルコペニア・フレイルを合併した保存期CKDの食事療法の提言」(2019年)も報告されており,サルコペニア・フレイルを合併したCKD患者では,そのアウトカムである末期腎不全および死亡・心血管死の絶対リスクなどを総合的に評価し,末期腎不全のリスクが低い(サルコペニア・フレイルの治療を優先する)症例において,運動療法の実施とともにたんぱく質制限を緩和してもよいと考えられることが記載されています2)。いずれにおいても,患者の状態をよく把握し,管理栄養士による栄養指導後にもモニタリングを行いながら管理することが重要です。
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