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人工呼吸器のclosed-loop ventilationの現状について

No.5203 (2024年01月13日発行) P.46

藤谷茂樹 (聖マリアンナ医科大学救急医学教授)

則末泰博 (東京ベイ・浦安市川医療センター 救急・集中治療科(集中治療部門)部長)

登録日: 2024-01-12

最終更新日: 2024-01-09

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  • closed-loop ventilationの使用が早期人工呼吸離脱に有効であることなど,患者にとってのclinical outcomeのメリットなどについて,東京ベイ・浦安市川医療センター・則末泰博先生にご解説をお願いします。

    【質問者】藤谷茂樹 聖マリアンナ医科大学救急医学教授


    【回答】

    【人工呼吸器のclosed-loop ventilationは今後,世界的に普及していくと考えられる】

    (1)人工呼吸器のclosed-loop ventilationとは

    人工呼吸器のclosed-loop ventilationとは,人工呼吸器が患者の生理学的指標をモニターしながら,臨床医があらかじめ設定した範囲内にその指標が収まるように,人工呼吸器自身が動作を調整していくモードのことです1)。本稿では,closed-loop ventilationによって現在どのようなことができるか,そして今後はどのようなことができるようになるかについて説明します。

    (2)酸素化に関するclosed-loop ventilation

    酸素飽和度が低すぎる場合も高すぎる場合も人工呼吸器が自動的に設定を変更していく酸素化のclosed-loop ventilationは,患者を適正な動脈血酸素飽和度にできるだけ長く保つことに,大きく貢献できます。酸素化に大きく影響する設定は吸入酸素濃度(fraction of inspiratory oxygen:FiO2)と呼気終末陽圧(positive end expiratory pressure:PEEP)ですが,INTELLiVENT-adaptive support ventilation®(INTELLiVENT-ASV®)というモードは患者の酸素飽和度に応じてFiO2とPEEPを自動的に調節することができます2)

    (3)換気に関するclosed-loop ventilation

    一定の分時換気量を保つことは,酸塩基平衡を保つ上で重要です。上述のINTELLiVENT-ASV®というモードは,呼気終末二酸化炭素分圧(end- tidal CO2)をモニターすることによって,呼吸回数を自動的に調整することで分時換気量を常に適正化することが可能です。

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