株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

【文献 pick up】上腕測定型家庭血圧計の5台に1台は不正確?―米国実態調査/Am J Hypertens誌

宇津貴史 (医学レポーター)

登録日: 2024-01-10

最終更新日: 2024-01-10

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

米国でも2017年ガイドラインで測定が推奨されるようになった家庭血圧だが、同国では上腕測定型家庭血圧計に限っても2割以上は測定値の正確性に問題があることが明らかになった。米国・ハーバード大学のStephen P Juraschek氏らが昨年12月27日、American Journal of Hypertension誌で報告した。

わが国の高血圧ガイドライン(高血圧治療ガイドライン2019)は「診察室血圧と家庭血圧の間に診断の差がある場合、家庭血圧による診断を優先する」と推奨している。

【対象】

今回解析対象となったのは、家庭血圧計152台。米国の単一内科クリニックで加療中の高血圧患者が使用していた(自前または貸与)。上腕測定型以外の血圧計、またカフサイズが不適切だった血圧計は除外されている。患者の平均年齢は60.4歳、59%が女性だった。

【方法】

これら152台(家庭デバイス)による血圧測定の正確性を、オムロン社製HEM-907XL血圧計(診察室デバイス)を対照として比較した。血圧測定は、背もたれのある座位にて5分間安静後に実施された。

比較方法は米国医師会と米国心臓協会(AHA)が推奨する自己測定血圧計較正テスト法に従った(本較正法の信頼性についてはEguchi K, et al. 2012)。すなわち同一腕の収縮期血圧を、患者デバイスと診察室デバイスにて順次合計5回測定する(1、2、4回目は患者デバイスを用い、3、5回目に診察室デバイス)。そして患者デバイス2、4回目測定値平均と診察室デバイス3回目測定値の差が「5mmHg以下」であれば家庭デバイスは「使用可」と評価される。他方、差が「10mmHg超」ならば「要交換(使用不可)」である。また差が「6~10mmHg」のデバイスはさらに「診察室デバイス3、5回目測定平均値」と「患者デバイス4回目測定値」を比較し、その差が「10mmHg超」ならば「要交換(使用不可)」とされる。

【結果】

上記検討の結果、22.4%が「要交換(使用不可)」と判定された。この比率はオムロン社製デバイスと他社デバイス間で有意差はなかった。「要交換(使用不可)」の予知因子を患者特性に求めたが、有意な因子は見つからなかった。ただしBMI「1kg/m2」上昇に伴い、家庭デバイスが「要交換(使用不可)」と評価されるオッズ比は1.0795%CI0.99-1.15)の増加傾向を認めた。

【補足】

わが国の高血圧ガイドラインは「カフ・オシロメトリック法による上腕家庭血圧測定計の精度は、わが国の製造会社の装置であれば大きな問題はない」とする一方、「すべての血圧測定において、血圧計の定期的な点検、および耐用年数・測定回数を考慮した使用が必要である」とも記している。

Juraschek氏はNIH/NHLBIBeth Israel Deaconess Medical Centerから資金提供を受けた。

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

公立小浜温泉病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
勤務地: 長崎県雲仙市

公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top