【質問者】杉多良文 兵庫県立こども病院泌尿器科部長
【埋没陰茎と矮小陰茎の鑑別診断と,治療の適応と手術方法について概説する】
小さく見える陰茎は,陰茎そのものが小さい矮小陰茎と,陰茎長は正常範囲ですが,陰茎のすべて,または一部が体表内に隠れている埋没陰茎があります。
矮小陰茎の診断は,勃起していないときに陰茎を伸展させて,恥骨結合から陰茎先端までの陰茎背側の長さを測定します。日本人の基準では,①日齢1以降の新生児期に2.5cm未満,②3歳時で3.0 cm未満が目安となります1)。矮小陰茎が疑われる場合は,外陰部の形態や精巣容量や全身の身体所見をくまなく観察し,必要であれば画像検査,血液,尿検査による内分泌検査を行います。しかし,来院した患者の多くは,陰茎長は正常範囲で,埋没陰茎であったり真性包茎だったりします。
外観上は同様の埋没陰茎に見えても,成因と病態は様々です。成因として包皮狭窄部が外板側にあり,内板が長い“long inner prepuce”であったり,包皮と陰茎皮下の筋膜の付着が十分でないことや,恥骨前脂肪が豊富なことがほとんどです。稀に,陰茎係蹄靱帯と陰茎堤靱帯の未熟や,付着部の異常が認められることがあります。また,腹側包皮が短く,陰茎包皮と陰囊があたかも紙飛行機のように見えるものを“webbed penis”と呼び,日本泌尿器科学会用語集では「翼状陰茎」と訳されています。
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