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耳・鼻・喉の異物[私の治療]

No.5213 (2024年03月23日発行) P.42

今井一徳 (名古屋市立大学医学部附属東部医療センター救急科講師)

登録日: 2024-03-20

最終更新日: 2024-03-19

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  • 耳や鼻の異物は,低年齢児や高齢者であっても比較的安全にERで異物除去を試みることが可能である。喉の異物は,一見安定して見えても,気道閉塞から心停止に至る可能性があるため,気道管理と異物除去の戦略に熟練した医師とともに診療にあたる。高次医療機関との連携も考慮する。

    ▶病歴聴取のポイント

    異物の種類・性状と留置期間を尋ねる。

    ▶バイタルサイン・身体診察のポイント

    【耳】

    異物の影響で,炎症,潰瘍形成,出血が起こっていることがあるため,耳鏡を用いて目視で異物を確認する。診察のみでも痛みを伴うことがあるので,必要に応じ局所麻酔をする。

    【鼻】

    異物は鼻腔内のどこにでも存在する可能性はあるが,下鼻甲介のすぐ下,中鼻甲介のすぐ前方の鼻底またはその周辺にあることが多い。

    【喉】

    気道閉塞の徴候(喘鳴,不均等な呼吸音,咳嗽,胸上がりの有無・左右差など)をまず確認する。

    急激に気道が完全閉塞する可能性を常に考えて対応する。診断や治療操作により異物が動き,気道が完全に閉塞することがある。

    ▶緊急時の処置

    【耳】

    異物が硬くて変形しにくいもの(おもちゃ,ボタン電池,石など)の場合:ワニ口鉗子などでつまみ出す。

    変形しやすいもの(紙片,綿棒の頭など)の場合:Frazier suctionなどで吸い付けて取り出す。

    昆虫:光源の刺激で昆虫が暴れ,外耳道を傷つけることがある。局所麻酔薬等〔キシロカインゼリー2%(リドカイン塩酸塩),キシロカインポンプスプレー8%(リドカイン)など〕を外耳道に滴下し,昆虫の動きを止めてから処置を行う。

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