耳や鼻の異物は,低年齢児や高齢者であっても比較的安全にERで異物除去を試みることが可能である。喉の異物は,一見安定して見えても,気道閉塞から心停止に至る可能性があるため,気道管理と異物除去の戦略に熟練した医師とともに診療にあたる。高次医療機関との連携も考慮する。
異物の種類・性状と留置期間を尋ねる。
異物の影響で,炎症,潰瘍形成,出血が起こっていることがあるため,耳鏡を用いて目視で異物を確認する。診察のみでも痛みを伴うことがあるので,必要に応じ局所麻酔をする。
異物は鼻腔内のどこにでも存在する可能性はあるが,下鼻甲介のすぐ下,中鼻甲介のすぐ前方の鼻底またはその周辺にあることが多い。
気道閉塞の徴候(喘鳴,不均等な呼吸音,咳嗽,胸上がりの有無・左右差など)をまず確認する。
急激に気道が完全閉塞する可能性を常に考えて対応する。診断や治療操作により異物が動き,気道が完全に閉塞することがある。
異物が硬くて変形しにくいもの(おもちゃ,ボタン電池,石など)の場合:ワニ口鉗子などでつまみ出す。
変形しやすいもの(紙片,綿棒の頭など)の場合:Frazier suctionなどで吸い付けて取り出す。
昆虫:光源の刺激で昆虫が暴れ,外耳道を傷つけることがある。局所麻酔薬等〔キシロカインⓇゼリー2%(リドカイン塩酸塩),キシロカインⓇポンプスプレー8%(リドカイン)など〕を外耳道に滴下し,昆虫の動きを止めてから処置を行う。
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