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ニューモシスチス肺炎,サイトメガロウイルス肺炎[私の治療]

No.5217 (2024年04月20日発行) P.42

濵田洋平 (佐賀大学医学部附属病院感染制御部副部長)

青木洋介 (佐賀大学医学部附属病院感染制御部部長/教授)

登録日: 2024-04-17

最終更新日: 2024-04-16

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  • Ⅰ.ニューモシスチス肺炎(Pneumocystis pneumonia:PCP)

    酸素化障害(息切れ,呼吸困難)をきたし,両肺にびまん性すりガラス陰影~地図状斑状陰影(CT画像)を認める,Pneumocystis jirovecii(旧名P. carinii)が原因となる肺の日和見感染症である。後天性免疫不全症候群(AIDS)および悪性腫瘍や自己免疫疾患の治療中の患者に認められ,健常人に発症することはない。

    ▶診断のポイント

    プレドニゾロンやタクロリムスなど,細胞性免疫障害をきたす治療を受けている患者の呼吸不全を伴う肺炎では,本症を必ず疑う。PCR検査の特異度はあまり高くないため,臨床像,画像所見,および血中β-D-glucan高値を総合的に勘案して診断する。気道検体のグロコット染色陽性が最も特異度が高い。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    診断確定後,あるいは臨床的背景によりPCPを第一に疑う場合に治療を開始する。低酸素血症が著明な場合(PaO2<70mmHg,あるいはA-aDO2>35mmHg)は,副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン60~80mg/日で開始,以後,漸減)を併用する。

    ▶治療の実際1)

    いずれの治療も21日間の治療期間を原則とする。

    一手目 :バクタ配合錠(スルファメトキサゾール・トリメトプリム)1回3~4錠(トリメトプリムとして15mg/kg/日)1日3回(毎食後),またはバクトラミン注(トリメトプリム・スルファメトキサゾール)1回3~4アンプル(生理食塩水あるいは5%ブドウ糖液250~500mLに溶解)1日3回(点滴静注)

    二手目 :〈ST合剤が使用できない場合,処方変更〉ベナンバックス注(ペンタミジンイセチオン酸塩)1回4mg/kg(生理食塩水あるいは5%ブドウ糖液250mLに溶解)1日1回(1~2時間かけて点滴静注),またはサムチレール内用懸濁液15%(アトバコン)1回1包1日2回

    【予防】

    AIDS患者の場合,抗ウイルス薬による治療をCD4陽性リンパ球数>200/μLになるまで継続した後に,PCPの予防を開始する。非HIV感染者ではプレドニゾロン20mg/日,4週間以上の投与が予防開始の目安となる2)

    一手目 :バクタ配合錠(スルファメトキサゾール・トリメトプリム)1回1錠1日1回

    二手目 :〈腎障害や薬疹を認める場合〉ベナンバックス注(ペンタミジンイセチオン酸塩)1回1バイアル(注射用蒸留水10mLに溶解)月1回(吸入)

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