わが国でも減量治療への使用が始まったGLP-1受容体作動薬セマグルチドだが、実臨床において5%を超える減量が期待できるのは約半数のようだ。4月6日から米国アトランタで開催された米国心臓学会(ACC)学術集会において、ヒューストン・メソジスト病院(米国)のEleonora Avenatti氏が報告した。同氏によれば、セマグルチドによる減量作用を検討した実臨床データとしては、現在公表されている中で最大級だという。
解析対象となったのは、米国ヒューストンに在住でセマグルチド注を開始した「BMI≧27 kg/m2」の3万3773名である。2型糖尿病(DM)の有無は問わない。同地における心血管系(CV)疾患検討レジストリから抽出した。
セマグルチド開始後の減量幅、減量率を観察した。観察期間中央値は323日だった。
セマグルチド開始後に「5%超」の減量が見られたのは、「0.25-0.5mg/週」(低用量)で26.2%、「1.0-1.7mg/週」(中等用量)で38.7%、「2.0-2.4mg/週」(高用量)で53.0%だった。「10%超」減量に基準を引き上げると、達成率は順に10.0%、17.1%、27.5%である。
2型DMを合併していると減量作用が減弱する傾向も見られた。すなわち、セマグルチド高用量で「5%超」減量達成率を比べると、非DM例では61.4%だったのに対し、DM合併例では47.6%だった(検定不詳)。この数字を「10%超」減量で比較すると「35.3%(非DM) vs. 22.5%(DM)」となる。
なおセマグルチド使用開始前BMIの高低は、使用開始後の体重減少率に影響を与えていないようだった(検定不詳)。
実臨床におけるセマグルチドの減量作用は、ランダム化比較試験で報告されているほど強くないとAvenatti氏らは結論している。
本研究に開示すべきCOIはないとのことである。