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急速進行性糸球体腎炎[私の治療]

No.5218 (2024年04月27日発行) P.44

臼井丈一 (筑波大学医学医療系臨床医学域腎臓内科学准教授)

登録日: 2024-04-26

最終更新日: 2024-04-23

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  • 急速進行性糸球体腎炎(rapidly progressive glomerulonephritis:RPGN)は腎炎を示す尿所見を伴い,数週~数カ月の経過で急速に腎不全が進行する症候群と定義され,多くの腎疾患を含んでいる。典型的な腎組織所見は,壊死性半月体形成性糸球体腎炎である。腎のみを障害する疾患(一次性RPGN)と,全身性疾患や感染症などに伴ってRPGNをきたす疾患(二次性RPGN)の2つにわけられる。抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連腎炎,抗糸球体基底膜(GBM)抗体型腎炎のほか,ループス腎炎,IgA腎症,IgA血管炎,各種の感染関連腎炎,膜性増殖性糸球体腎炎,薬剤などに起因することがある。

    ▶診断のポイント

    典型例は,数週~数カ月の経過で急速に腎不全が進行する高齢患者である。全身倦怠感,発熱,関節炎などの全身症状,皮膚,眼,耳鼻,肺(肺胞出血や間質性肺炎),消化管,神経など腎外症状を伴うことが少なくない。RPGNの原疾患の診断のため,血清ミエロペルオキシダーゼ(MPO)-ANCA,プロテイナーゼ3(PR3)-ANCA,抗GBM抗体の測定を行い,患者の状態に応じて腎生検を考慮する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    腎死を回避するためには早期診断,治療開始が重要である。初期治療(治療開始後おおむね3~6カ月以内),維持治療(治療開始後3~6カ月以降)にわけられる。

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