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社会的卵子凍結について

No.5222 (2024年05月25日発行) P.59

柴田綾子 (淀川キリスト教病院産婦人科医長)

菊地 盤 (メディカルパーク横浜院長)

登録日: 2024-05-22

最終更新日: 2024-05-21

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  • 近年,医学的な適応以外での社会的卵子凍結について,東京都や一般企業が凍結にかかる費用の一部を助成するなど,話題にのぼる機会が増えてきました。社会的卵子凍結について女性から質問があった際,どのような点に気をつけて説明したらよいでしょうか。
    メディカルパーク横浜院長・菊地 盤先生にご解説をお願いします。

    【質問者】柴田綾子 淀川キリスト教病院産婦人科医長


    【回答】

    【その女性自身が行うべきか否かを判断できるよう支援すべきである】

    “医学的”な卵子凍結と“ノンメディカル(社会的)”な卵子凍結という分類が一般的ですが,がん生殖など時間的余裕のない“緊急的”なものと,女性自身がライフプランとして考える“計画的”なものとに分けるべきという考えが米国生殖医学会(American Society for Reproductive Medicine:ASRM)から発表されています。

    理由はどうであれ,当事者が“計画的”に卵子凍結を行うことは倫理的にも認めるべきとされますが,その“計画”のための正確な情報が重要となります。将来の妊娠/出産率は様々な要因によって左右されてしまいますので,以下のような情報提供を行い,“当事者”が慎重に判断できるようサポートすべきと考えます。

    (1)凍結時の年齢と個数による将来の期待出産率

    加齢で妊孕性は低下しますので,34歳までに20個の卵子を凍結すれば将来8割ほどの出産の可能性があるという報告や,35歳までであれば凍結個数につれて将来の予測出産率が上昇していくものの,36歳を超えると個数が増えてもさほど上昇しないという報告などから,個人差はあれ,30歳代前半までに10個以上,できれば20個近くの卵子を凍結しておくことが理想的でしょう。獲得卵子数については,アンチミュラー管ホルモン(anti- Müllerian hormone:AMH)の値で,ある程度予想することが可能です。

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