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【文献 pick up】AF例への「リズム」コントロールは「レート」に比べCV転帰を有意改善?―RCTメタ解析/ JACC CE誌

宇津貴史 (医学レポーター)

登録日: 2024-05-22

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非弁膜性心房細動(AF)へのリズムコントロール(洞調律維持療法)は、21世紀初めのランダム化比較試験(RCT)において("AFFIRM”、"AF-CHF")、期待に反し、心血管系(CV)転帰をレートコントロール(心拍数調節療法)に比べ改善しなかった。しかし「リズム」コントロールそのものの進歩に伴い、状況は異なってきたようだ。最新RCTメタ解析の結果、明らかになった。チューリッヒ大学病院(スイス)のStefanos Zafeiropoulos氏らが5月8日、JACC Clinical Electrophysiology誌で報告した。

【対象】

解析対象とされたのは、AFに対する「リズム」コントロールと「レート」コントロールによる臨床転帰を比較したRCT 18報である。参加例総数は1万7536例。平均年齢は68.6歳、37.9%が女性だった。追跡期間平均は28.5カ月間、AF31.9%が発作性だった。

「リズム」群に占めるカテーテル・アブレーションの割合は8.9%で、すべて焼灼による肺静脈隔離だった。また抗不整脈薬はアミオダロン、ドロネダロンに限定した試験が3報ずつ、薬剤限定なしの試験が6報だった。一方、「レート」群で使用されていた薬剤はβ遮断薬やベラパミル、ジルチアゼム、ジゴキシンである。

【方法】

これらRCT 18報のデータを併合し、「リズム」群と「レート」群間で「CV死亡」(1次評価項目)、「総死亡」「脳卒中」「HF入院」リスクなどを比較した。

【結果】

・CV死亡(13試験、1万4793例)

「リズム」群は「レート」群に比べ「CV死亡」リスクが有意に低値となった。ハザード比(HR)は0.7895%信頼区間[CI]:0.620.96)である。ただし試験間に結果に有意なバラつきが認められた(P=0.04)。 

・脳卒中(13試験、1万6235例)

「脳卒中」も同様に「リズム」群で(かろうじて)有意なリスク低下を認めた(HR0.800.640.998P =0.43)。

・心不全入院(6試験、1万0390例)

「心不全入院」も同様で、「リズム」群におけるHR0.80 (95%CI0.690.94)だった(P =0.18)。

・総死亡(17試験、1万7422例)

一方、総死亡リスクは「リズム」群で減少傾向を認めるも、有意差とはならなかった(HR0.860.731.02P =0.06)。

【考察】

本メタ解析の結果が、21世紀当初のRCTと逆の結果になった理由としてZafeiropoulos氏らは、「リズム」コントロールによる洞調律回復率の改善を指摘している。アブレーションの導入もその1つである。その上で同氏らは、AF治療における「リズムコントロールへのパラダイムシフトが進行中だ」と記している。

本解析の筆頭著者、責任著者とも開示すべき利益相反はないとのことだ。

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