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腎血管性高血圧[私の治療]

No.5231 (2024年07月27日発行) P.48

金口 翔 (横浜市立大学医学部循環器・腎臓・高血圧内科学)

田村功一 (横浜市立大学医学部循環器・腎臓・高血圧内科学主任教授)

登録日: 2024-07-24

最終更新日: 2024-07-23

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  • 腎血管性高血圧(renovascular hypertension:RVHT)は,腎動脈の狭窄や閉塞による高血圧で,全高血圧患者の約1%にみられる。中高年では動脈硬化が,若年者では線維筋性異形成が主な成因となる。

    ▶診断のポイント

    RVHTを疑う患者像は,若年発症の高血圧,重症高血圧,治療抵抗性高血圧,腹部血管雑音の聴取,腎臓の大きさの左右差,レニン-アンジオテンシン(RA)系阻害薬での腎機能の悪化などである。RVHTの診断は,画像検査による形態的診断が基本となる。スクリーニング検査として腎動脈超音波検査が有用であり,同検査が施行できない場合や必要に応じて,磁気共鳴血管造影(MRA),CT血管造影(CTA)(腎機能障害がある場合は非造影MRA)を考慮する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    降圧目標を達成するまで,RA系阻害薬,Ca拮抗薬,利尿薬,β遮断薬などを用いた多剤併用を行う。RA系阻害薬は,片側性のRVHTの場合,降圧,腎機能保持,生命予後改善に有利な可能性があるが,両側性のRVHTの場合,急速な腎機能障害をもたらす可能性があり禁忌である。

    非薬物療法として,経皮的腎血管形成術(PTRA)がある。線維筋性異形成によるRVHTの場合,PTRAは高い降圧効果が期待でき,長期予後が比較的良好であるため積極的に検討する。動脈硬化性のRVHTの場合,薬物療法のみの治療と比較してPTRAの優れた治療効果は証明されておらず,その適応は限定的である。

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