No.5232 (2024年08月03日発行) P.48
今野俊宏 (秋田大学医学部麻酔蘇生疼痛管理学講座)
新山幸俊 (秋田大学医学部麻酔蘇生疼痛管理学講座教授)
住谷昌彦 (東京大学医学部附属病院麻酔科准教授)
登録日: 2024-08-01
最終更新日: 2024-07-31
【質問者】
今野俊宏 秋田大学医学部麻酔蘇生疼痛管理学講座
新山幸俊 秋田大学医学部麻酔蘇生疼痛管理学講座教授
【身体器質的原因のない痛みはすべて痛覚変調性疼痛に分類される】
痛覚変調性疼痛は「末梢神経終末上の侵害受容器の興奮を引き起こす実際の組織傷害あるいは組織傷害の危険性の明らかな証拠がない,もしくは,痛みを引き起こす体性感覚神経系の疾患や病変がないにもかかわらず生じる侵害受容の変調による痛み」と定義され,侵害受容性疼痛(=末梢神経終末上の侵害受容器の興奮を引き起こす実際の組織傷害あるいは組織傷害の危険性によって生じる痛み)と,神経障害性疼痛(=体性感覚神経系の疾患や病変によって生じる痛み)が除外された痛みに対する病態名です。
痛覚変調性疼痛の代表的な疾患として線維筋痛症が挙げられていますが,線維筋痛症患者の94.6%が,精神科専門医の評価ではうつ病や人格障害などの精神疾患と診断されるという報告があり,また,「WHO国際疾病分類の第11版改訂版(ICD-11)」では,「感情的な問題と関連する痛みで,機能的な障害と関連していてもよいが,他の原因が明らかでないもの」と定義される一次性疼痛(primary pain)が新たに設定されており,線維筋痛症は一次性疼痛に分類されています。
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