政府は27日、認知症対策の国家戦略「認知症施策推進総合戦略」(新オレンジプラン)を決定した。厚生労働省が2013年度から進めてきた「認知症施策推進5カ年計画」(オレンジプラン)を改めたもので、主な施策として早期診断・早期対応を軸とする医療・介護の提供、若年性認知症施策の強化、予防法・診断法等の研究開発、当事者や家族の視点の重視などを盛りこんだ。
新戦略では、医療・介護等の提供について、徘徊などの行動・心理症状(BPSD)や身体合併症のある人への対応が固定化されないよう医療・介護等の連携を強化。かかりつけ医の対応力向上研修、認知症サポート医の養成研修の受講者を2017年度末までにそれぞれ6万人、5000人とする数値目標を掲げた。対応力向上研修は歯科医師・薬剤師にも対象を広げる。
新戦略の策定を受け、安倍晋三首相は同日、認知症当事者や医療・介護関係者らとの意見交換会を開催した。出席した横倉義武日本医師会会長は、かかりつけ医について「発症初期に気付き、専門医療につなげる役割を担う」と重要性を強調。鳥羽研二国立長寿医療研究センター総長は、「認知症の新薬開発には5年以上を要するが、予防ケアの強化にはすぐ取りかかれる」とし、効果的な予防法開発に向けたコホート研究を全国展開する考えを示した。