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【文献 pick up】日本人「ステージB」HF例の「CV死亡・HF入院」リスクを評価する「BEEAF2スコア」登場/JAHA誌

宇津貴史 (医学レポーター)

登録日: 2024-10-11

最終更新日: 2024-10-11

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わが国でも心不全(HF)ステージ分類は米国ACCF/AHAガイドラインに倣い、ステージAからD4段階に分類する(急性・慢性心不全診療ガイドライン[2017年改訂版])。中でも「ステージBHF(器質的心疾患はあるが心不全症候なし)は、症候性HFへの進展抑制という観点からその管理が重要となるが、「無症候」ということもあり進展高リスク例の特定は必ずしも容易ではないという。

神戸大学の小田島 進氏らはレジストリ解析から、このリスク層別化のツールとして「BEEAF2スコア」なる簡便なリスクスコアを導出し、930日、Journal of the American Heart Association誌で報告した。

【対象】

今回解析対象となったのは、淡路医療センター(兵庫県)で連続登録された「ステージBHF 761例である。平均年齢は73.2歳、男性が73.3%を占めた。左室駆出率は平均値で56.3%74.2%PCI既往、12.9%に脳卒中既往があった。合併症としては高血圧(74.9%)が最多で脂質異常症(70.0%)が続いた。糖尿病合併例は39.7%だった。

なお「ステージBHFが全HF例に占める割合は同施設連続登録例中46%だった(最多である「ステージC」の50%に次ぐ)。

【方法】

これら761例でまず、(12年間の「CV死亡・HF入院」リスクと有意に相関する因子を多変量解析で洗い出し、(2)それら因子を用いて「CV死亡・HF入院」リスクを3群に分け、(33群間で2年間「CV死亡・HF入院」を比較した。

【結果】

・「CV死亡・HF入院」リスク予知因子

多変量解析の結果、2年間「CV死亡・HF入院」リスクと有意に相関していた因子は以下の5つだった。すなわち、①「フレイル(Clinical frailty scale3)」(ハザード比[HR]:4.17)、②「eGFR45mLmin1.73m2」(同:2.63)、③「貧血(ヘモグロビン:男性<13gdL、女性<12gdL)」(同:2.57)、④Ee′平均>14」(同:2.30、⑤BNP≧150pgmL」(同:2.23―である。

・リスク層別化

上記5因子を「フレイル」のみ2点、残りを1点とし、合算した「BEEAF2スコア」(各項目の頭文字から命名)別に「1点以下」(低リスク)、「23点」(中等リスク)、「4点以上」(高リスク)の3群に分けた。

・「BEEAF2スコア」別「CV死亡・HF入院」リスク

するとBEEAF2スコアを用いた3リスク群間で、「CV死亡・HF入院」リスクに有意な差を認めた。すなわち、「高リスク」群における「CV死亡・HF入院」(発生率:26.7%HRは「中等リスク」群(発生率:6.4%)に比べ4.6995%CI1.43-15.4)の有意高値だった。同様に「中等リスク」群における対「低リスク群」(発生率:0.6%)「CV死亡・HF入院」HRも、10.6(同:4.98-22.4)の有意高値だった。

【考察】

小田島氏らは、BEEAF2スコアを用いた「ステージBHFのリスク層別化は、より慎重な経過観察が必要なHF例の特定に資するとする。同時に同氏らは、高リスク例ではそれを伝えることにより患者の治療意欲や治療アドヒアランスの改善も期待できると考えている。また「フレイル」に伴う「CV死亡・HF入院」リスク増大が著明だったため、フレイル例では(早期からの)心リハが有用ではないかとも考察している。

一方、本解析の対象は単一施設に限定され、加えて「CV死亡・HF入院」発生率が必ずしも高くなかったため、大規模な集団でのBEEAF2スコア検証が必要だとしている。

本研究は大阪ガスグループ福祉財団から資金援助を受けた。

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