良性発作性頭位めまい症(benign paroxysmal positional vertigo:BPPV)は,半規管に耳石が迷入することにより発症する。内耳の前庭器は回転を知覚する半規管(前,外側,後半規管)と加速度や重力を知覚する耳石器(卵形囊,球形囊)から構成される(図1)1)。
回転の慣性力で生じる半規管内の内リンパ液の流動(内リンパ流動)により,膨大部にあるクプラ(図2)1)が傾くことで回転が半規管により知覚される。クプラの傾く方向によりクプラの根元にある感覚細胞が興奮あるいは抑制され,回転の向きが正確に知覚される仕組みになっている。このように回転を知覚する半規管に卵形囊から剝がれた耳石が迷入すると,頭位が変化した際の内リンパ流動やクプラ自体の動きが増強するため,回転性のめまいが起きる。
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