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嗄声[私の治療]

No.5251 (2024年12月14日発行) P.34

正岡建洋 (川崎市立川崎病院内視鏡センター所長)

登録日: 2024-12-11

最終更新日: 2024-12-10

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  • 肺からの気流が喉頭に存在する声帯によって振動することで音波を生じる作用が発声である。この作用に異常が生じ,声がかすれるなど,音質の異常が生じることが嗄声であり,一般的に「声がれ」と呼ばれる。発声には脳幹,迷走神経,喉頭が関与しており,嗄声はこれらの部位に障害が生じることで起こるが,その原因には様々な疾患があり,その鑑別について以下に述べる。

    ▶病歴聴取のポイント

    嗄声がどれくらい前から生じているか,随伴症状の有無,職歴(声をよく使う職業か,嗄声による休業の有無),発症の契機(気管挿管歴,手術,外傷など)の有無がポイントである。急激に嗄声が生じる代表的な疾患として,アナフィラキシーや急性喉頭蓋炎がある。アレルゲンとなりうるものの摂取や投与を契機とし,数分後から嗄声が生じ,皮膚症状を伴う場合はアナフィラキシーの一症状を疑う。急性喉頭蓋炎は,随伴症状として発熱,急性の咽頭痛,嚥下時痛,流涎があり,急速に増悪することがある。また,薬剤の影響で直接的,もしくは間接的に嗄声が生じうるので,お薬手帳などで薬剤内服歴を確認する。

    ▶バイタルサイン・身体診察のポイント

    呼吸困難,努力呼吸,陥没呼吸,シーソー呼吸,stridor,wheezeを伴っていれば,気道緊急による嗄声を疑い,直ちにSpO2を含むバイタルサインのモニタリングを開始し,状態が安定するまで継続する。気道緊急を認めなければ,通常通りのバイタルサイン測定,ならびに随伴症状の有無を把握するための身体診察を行う。

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