株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

大規模疫学調査による下部尿路症状(LUTS)の最近の動向について

No.5264 (2025年03月15日発行) P.54

小島祥敬 (福島県立医科大学泌尿器科教授)

三井貴彦 (山梨大学医学部泌尿器科教授)

登録日: 2025-03-14

最終更新日: 2025-03-11

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 大規模疫学調査による下部尿路症状(lower urinary tract symptoms:LUTS)の最近の動向をご教示下さい。山梨大学・三井貴彦先生にご解説をお願いします。

    【質問者】
    小島祥敬 福島県立医科大学泌尿器科教授


    【回答】

    【わが国では,20歳以上の約8割が何らかの下部尿路症状を有している】

    LUTSは,蓄尿症状,排尿症状,排尿後症状の3 種類に大別され,LUTSの有症率は一般的に加齢とともに増加します。LUTSは生活の質(QOL)に影響を与えることもあり,超高齢社会を迎えているわが国では,LUTSの状態を評価し適切な治療を行うことが重要です。

    わが国のLUTSにおける疫学については,2002年に行われた調査により有症率やQOLへの影響が明らかとなりました。しかし,この疫学調査から20年以上経過した現在,わが国は先進国と比べても未曾有の超高齢社会を迎えていることもあり,日本排尿機能学会では神経因性膀胱研究会発足から50年を迎えた2023年に,インターネットリサーチでLUTSに関する疫学調査を約20年ぶりに行いました1)

    今回の疫学調査では,20~99歳の各年代において,総務省統計局国勢調査の人口比率に基づき,男女,年代別,地域別等で割付を行った男性3122人,女性3088人の6210人が質問に回答しています。結果として,LUTSのうち少なくとも1つの症状を有する20歳以上の割合は77.9%でした。そのうち,蓄尿症状が最も多く,続いて排尿症状,排尿後症状でした。2002年に準じて40歳以上に限定すると,LUTSのうち少なくとも1つの症状を有する割合は82.5%でした。このように,8割前後が何らかのLUTSを有していることになります。これらのLUTSの有症率は加齢とともに上昇していることから,超高齢社会におけるLUTSに対する診療は,ますます重要になっていると考えられます。

    WEBコンテンツ「疫学調査から見る過活動膀胱患者の実態と、QOL向上のための治療」

    残り397文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    関連書籍

    関連求人情報

    公立小浜温泉病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
    勤務地: 長崎県雲仙市

    公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
    現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
    2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
    6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

    当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
    2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
    又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

    ●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
    今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

    関連物件情報

    もっと見る

    page top