角膜ジストロフィとは,遺伝性,両眼性に角膜に異常物質が沈着する進行性の疾患である。本来透明な角膜に異常物質が沈着することで角膜が混濁し,視力が低下する。角膜ジストロフィをきたす遺伝子変異の多くは同定されている。
角膜ジストロフィの大半は常染色体顕性遺伝形式をとり,膠様滴状と斑状のみ常染色体潜性遺伝形式である。これらをふまえて詳細な家族歴を聴取することは診断の一助となる。
2024年に公開された「IC3D Classification of Corneal Dystrophies-edition 3」によると,角膜ジストロフィは22種類に分類されている1)。しかしながら,山口大学における遺伝子診断の結果からは顆粒状(Ⅰ,Ⅱ型),格子状(Ⅰ,ⅢA型),膠様滴状,斑状の四大角膜ジストロフィで全体の約96%を占めていることが判明した2)。角膜ジストロフィを疑う場合,細隙灯顕微鏡にて,境界明瞭な角膜沈着が多発(沈着間に透明部分がある)しているのか,びまん性の角膜沈着を瞳孔領を含む広範囲に認めるのかをまず判定する。前者であれば顆粒状Ⅰ型,顆粒状Ⅱ型,格子状ⅢA型,後者であれば格子状Ⅰ型,膠様滴状,斑状である可能性が高い2)。
2020年4月より角膜ジストロフィの遺伝子検査が保険収載された。本検査を行うためには,施設内で検査を遂行できる体制を整えた上で施設認定を得る必要がある。山口大学でも施行可能である。
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