遠視とは調節していない状態で,網膜の後方にピントが合っている状態である。近視や乱視同様,遺伝的な要因がみられる。斜視の合併の有無,遠視度数の強さ,年齢によって対処法が異なる。
小児では調節力が強いため,遠視度数を正確に出すために調節麻痺薬の使用が必要である。内斜視がみられる場合は1%アトロピン硫酸塩水和物(日点アトロピン)を年齢に応じた濃度で使用し,その他の場合は1%シクロペントラート塩酸塩(サイプレジンⓇ)点眼を用いる。日点アトロピン点眼では,散瞳は点眼後30~40分で最大となり,調節麻痺は散瞳にやや遅れて最大となる。散瞳も調節麻痺も約1週間は作用が持続する。サイプレジンⓇ 点眼では,散瞳は約1時間半後に最大となり,最大調節麻痺作用が45分~2時間続く。散瞳は約2日,調節麻痺は約1日持続する。このため,どちらの点眼薬も生活への影響を考慮して検査日を設定する。
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