医師や介護関係者らでつくる「抗認知症薬の適量処方を実現する会」が23日、設立総会を開催した。同会は、現在4種類ある抗認知症薬に事実上の増量規定があるとして、その撤廃などを目指し設立。適量処方実現のためにホームページなどで広報・啓発活動を行い、厚生労働省への提言も行う予定だ。
挨拶に立った代表理事の長尾和宏氏(長尾クリニック院長)は、「先日も、国民健康保険団体連合会の審査で(用量を下回る処方について)9県が減点しているとの報道があった」とし、現場の医師は「レセプトカットに脅えている」と訴えた。
同日は厚労省の三浦公嗣老健局長も出席。「『認知症施策推進総合戦略』(新オレンジプラン)でもBPSD(周辺症状)への対応として、薬によらない対応を第一選択肢とすることを原則とした」と述べながらも、投薬で対応する場合には高齢者の特性を考慮した対応がなされることの重要性を指摘した。
このほか「コウノメソッド」の提唱者、河野和彦理事(名古屋フォレストクリニック院長)が実例報告を行った。河野氏はドネペジルを例に「少量ならばいい薬」としつつ、約700人を6カ月観察した自身の臨床経験から「アルツハイマーなら適量は3.6㎎」との考えを示した。また、現場の医師が「増量しなくてはいけないと思い込んでいる」ことを問題点として指摘した。