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経鼻フルワクチン、「来季は使用すべきでない」 [米CDC諮問委]

No.4810 (2016年07月02日発行) P.14

登録日: 2016-07-02

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米疾病対策センター(CDC)の予防接種諮問委員会(ACIP)は6月22日、経鼻インフルエンザ生ワクチン(フルミスト)の小児への接種について、「来シーズン(2016~17年)は使用すべきでない」との勧告を発表した。
ACIPの勧告は、米国における2013~16年の有効性データに基づくもの。日本では経鼻生ワクチンは未承認だが、鼻腔内に噴霧するという利便性から、一部の医療機関では個人輸入による小児への接種が行われてきた。
CDCは2014年、小児への経鼻生ワクチンの使用を勧奨したが、13~14年に流行したH1N1/09への有効性がみられず、14~15年に流行したA香港型においても不活化ワクチンに対する優位性が確認されなかったことから、15年には勧奨を取り下げた。ACIPによると、15~16年においても、経鼻生ワクチンの不活化ワクチンに対する優位性は確認されなかった。

●菅谷憲夫氏(神奈川県警友会けいゆう病院小児科・感染制御)の話
ACIPが“should not be used”(使用すべきでない)という「禁止」に近い強い表現を用いた。ACIPの勧告が公的な効力を持つにはCDCの承認が必要だが、ACIPの勧告が覆ることはほとんどない。経鼻生ワクチンを小児のインフルエンザ予防戦略の中心に据えている英国、カナダなども来シーズンの方針を変える可能性がある。日本の医師も今回の勧告を重視すべきだ。
個人輸入に肯定的な報道も見られるが、H1N1/09に無効なワクチンを輸入してまで接種することには問題がある。現在、国内で第Ⅲ相試験が進められているが、拙速な薬事承認は避けるべきだ。(参照:本誌No.4790 2016年2月13日OPINION「経鼻インフルエンザ生ワクチンはH1N1/09に無効」)

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