【Q】
急性呼吸不全や心肺蘇生時の静脈血ガス分析の有用性についてご解説下さい。心肺蘇生時のように血行動態が不安定な患者では,動脈血が末梢の酸塩基平衡を反映しないため,静脈血でのガス分析が有用という意見がありますが,いかがでしょうか。また,急性呼吸不全の患者の管理において静脈血ガス分析の有用性はあるのでしょうか。日本大学・古川力丸先生にご教示をお願いいたします。 (大阪府 T)【A】
心肺蘇生時には,採取した血液の動静脈の判断が困難なことが多く,文献結果の解釈には注意を要します。動脈ライン・中心静脈ラインを確保された状態での心肺停止の自験例では,明らかなPO2の相違を認めましたが,pHやHCO3-などの酸塩基平衡異常の判断には差を認めませんでした。このように,確実に動静脈の判別ができる状況は非常に限られており,通常の心肺蘇生の臨床における「静脈血ガス分析」の有用性についての評価は不明,もしくは限局的と考えられます。
1) Byme AL, et al:Respirology. 2014;19(2):168-75.
2) Bloom BM, et al:Eur J Emerg Med. 2014;21(2):81-8.