【Q】
山中伸弥教授により開発されたiPS細胞を用いて眼科領域の治療が行われ,再生医療への期待が高まっています。一方,末期腎不全患者は現在も増加傾向にあり,患者さんのQOLや予後の改善,医療費削減のためにも,画期的な治療法の開発が切望され,iPS細胞技術に期待が集まっています。腎臓領域のiPS細胞研究の第一人者である京都大学・長船健二先生に,研究の現状と展望についてご教示をお願いします。【A】
現在,iPS細胞から様々な臓器の細胞種が作製可能となっており,網膜,神経,心筋,血液細胞などでは細胞移植療法(狭義の再生医療)の臨床応用に向けて研究が進められています。一方,腎臓は発生過程やその構造が複雑であることから,ほかの細胞種に比べiPS細胞から腎細胞を作製する研究は遅れています。