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急性腎障害を反映する新規尿中バイオマーカー

No.4693 (2014年04月05日発行) P.57

前嶋明人 (群馬大学生体統御内科学准教授)

野島美久 (群馬大学生体統御内科学教授)

登録日: 2014-04-05

最終更新日: 2016-10-26

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急性腎障害(AKI)は様々な原因(出血,脱水,ショック,心不全など)で発症し,重症化した場合には腎代替療法を要する。血清Cr値の変動や急速な尿量低下により診断されるが,実際には腎障害後に血清Crが上昇するまでに数日を要し,AKI診断時には治療介入の時期を逸していることが多い。
近年,AKIの病態を鋭敏に反映する新規尿中バイオマーカーがいくつか同定された。KIM-1は腎障害後の近位尿細管刷子縁に発現し,酵素の働きによって細胞膜から切断され尿中に排泄され,尿細管腔に脱落したアポトーシス細胞の貪食を促進する(文献1)。NGALは,腎障害に伴う炎症に反応して速やかに尿細管で発現が誘導される(文献2)。炎症性サイトカインであるIL-18も同様に,腎障害時に近位尿細管から尿中へ誘導されるが,NGALと異なり尿路感染には影響されない(文献3)。脂肪酸を運搬する低分子蛋白L-FABPは近位尿細管で発現し,腎障害時に尿中排泄が増加する(文献4)。尿細管障害マーカーとして2011年8月に保険収載された。
現在,既存の項目や新規マーカーを組み合わせた「バイオマーカーのパネル化」が試みられており,今後より精度の高いAKIの早期診断が可能になると思われる。

【文献】


1) Han WK, et al:Kidney Int. 2002;62(1):237-44.
2) Mishra J, et al:Lancet. 2005;365(9466):1231-8.
3) Parikh CR, et al:Kidney Int. 2006;70(1):199-203.
4) Yamamoto T, et al:J Am Soc Nephrol. 2007;◆18(11):2894-902.

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