株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

癌転移に対する外科治療の変化:リンパ節転移

No.4698 (2014年05月10日発行) P.57

山口俊晴 (がん研究会有明病院副院長)

登録日: 2014-05-10

最終更新日: 2016-10-26

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

リンパ節郭清の範囲は?
癌の手術ではその領域のリンパ節転移,あるいは転移する可能性のあるリンパ節を根こそぎ取り去る(郭清)ことが,術後の遠隔成績を向上させると考えられてきた。
縮小手術の台頭
乳癌の領域では,既にリンパ節転移はある程度の範囲に広がると,リンパ節郭清には意味がないことが示され,切除範囲やリンパ節郭清範囲もごく限られた方向に向かっていた。乳癌のような考え方はすべての癌に受け入れられたわけではないが,この背景には,乳癌には外科手術以外にも化学療法,ホルモン療法,放射線療法など,有効な手段があったことがある。
拡大郭清の流れ
胃癌の場合,1970年代まではリンパ節郭清は胃に付着した1群リンパ節と,胃に分布する主要な血管に沿った2群リンパ節を郭清するD2郭清手術が標準とされていた。しかし,技術的進歩に伴い,リンパ節郭清の範囲をさらに広げるD3郭清が試みられるようになっていた。
EBMの概念が外科領域にも影響を与え,D3郭清の効果を検証する研究JCOG9501が立ち上がった。その結果(文献1),D3郭清の有用性は否定された。この結果を受けて2010年,日本胃癌学会の『胃癌治療ガイドライン』でも,進行胃癌に対してはD2郭清が標準となった。リンパ節転移に関しては拡大郭清手術から周術期の化学療法へと,臨床研究の方向性が大きく転換した。

【文献】


1) Sasako M, et al:N Engl J Med. 2008;359(5):◆453-62.

関連記事・論文

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

公立小浜温泉病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
勤務地: 長崎県雲仙市

公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top