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低侵襲心臓手術(MICS)

No.4699 (2014年05月17日発行) P.57

荻野均 (東京医科大学心臓血管外科主任教授)

登録日: 2014-05-17

最終更新日: 2016-10-26

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近年の心臓外科分野においても,ほかの外科分野と同様に手術の低侵襲化が図られている。非体外循環下冠動脈バイパス術(OPCAB)が低侵襲化の発展に貢献してきたが,到達法に関して胸骨部分切開による小切開心臓手術が導入された。一方,この胸骨切開を回避し出血や創感染の減少,早期回復などを図る右小開胸(ポートアクセス法)によるMICS(minimally invasive cardiac surgery)(文献1)が導入されたことは,最近のトピックスと言える。
右側からの到達が容易な僧帽弁手術を対象に,直視下手術から最近では3D内視鏡下(文献2)となり,手術操作も容易となって皮膚切開は5~6cmまで縮小されてきている。背景のひとつに,対象患者の多くを占める僧帽弁閉鎖不全に対する弁形成術の安定した成績がある。本法の欠点として,心停止や体外循環時間の延長があり,修復容易な単純な弁膜疾患が良い適応となる。
MICSは経験の蓄積とともに,より複雑な病変へと適応が拡大され,同時に僧帽弁にとどまらず,大動脈弁に対しても試みられつつある。そしてさらに,海外の主要施設ではすでに実施されているロボット支援心臓手術(文献2,3)へと発展するものと期待される。

【文献】


1) Mohr FW, et al:J Thorac Cardiovasc Surg. 1998;◆115(3):567-74.
2) Chitwood WR:Ann Thorac Surg. 2005;79(6):◆S2248-53.
3) Suri RM, et al:Ann Thorac Surg. 2013;96(5):◆1914-5.

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